先日発売されたPS4用『Ghost of Tsushima』についてトロフィーコンプリートできたのでこのゲームについての感想などを残しておこうと思いました。
今回はこのゲームについての感想ということでゲームストーリー部分のネタバレはなるべくしないようにしてます。
癖があると思いきやとても正統なオープンワールドRPGだったこと
まずこのゲームについては開発元が「サッカーパンチプロダクションズ」というアメリカのゲーム開発会社で、有名なタイトルとしては「怪盗スライ・クーパー」や「INFAMOUS」などがあります。
もちろん評判の高いゲームスタジオではありますが、私はどちらのシリーズも遊んだことが無く、本作の「ゴーストオブツシマ」については舞台が鎌倉時代の日本で元寇が襲来した対馬島という色々な意味でかなり珍しい題材を扱っています。
更に主人公が礼節を重んじる侍ということもあって、確かに面白そうではあるものの何か間違った日本の描写とか色々とありそうで癖の強いゲームなのではないかというある種の不安もありました。
しかしながら実際に手に取って遊んでみると、不安に思っていた日本的な描写には全く違和感は感じず、ストーリーやゲーム内容しろ驚くほどに真っ当なオープンワールドアクションRPGでした。
ベタではあるけれでも熱かったメインストーリー
まずこのゲームの進行方法については、「仁之道」というメインクエストと大まかに「浮世草」「伝承」というサイドサブクエストがあり、フィールド上にアイコンの表示されているNPCに話しかけるとミッション開始して物語を進めていくというとてもオードソックスな形式です。
まずこのゲームについてのストーリー部分から触れていくと、メインストーリーについては王道的であり意外性などはありませんでしたが、分かりやすくとても熱いお話でした。
ストーリー展開などに破綻も無く、メインテーマでもある「武士や冥人」についても最後までしっかり描かれていています。
メインサブキャラクター共にキャラクターの描き方が丁寧で、特に主人公境井仁の侍の道から外れてしまうことへの葛藤もしっかりと描写されている影響もあって、とても感情移入しやすかったです。
ネタバレになるのであまり深く言えませんがエンディングも綺麗に締めくくられ、出来の良い大作映画を見たかのような余韻に浸れました。
全体的にとても出来の良いお話でしたが、このゴーストオブツシマのメインストーリーで個人的に気に入った所を言うと、今回のテーマとなる「武士と冥人」についての良い所悪い所の両方をそれぞれしっかりと描いている所でしょうか。
本編中で、「誉れ」をもって戦うことは尊いことというように描かれている一方で、その「誉れ」が一歩間違えれば、他人をいいように使う「口実」にもなりかねないこと、さらに「掟に従って戦う」ことが状況によっては「多くの人間を無駄死にさせてしまう」というような危険性が孕んでいることに気付かされます。
では逆に冥人のように「武士の掟を破る」手段を選ばず戦うことが良いことなのかと言われればそういうわけでもなく、それはそれでまた別の問題を生じさせてしまうというようなことがありました。
そうした両面性をしっかり描いているせいかそれぞれの登場人物の思想の違いとか対立についても自然と納得がいくように感じられましたし、武士道はダメで主人公サイドの冥人様が正しいみたいなある種のチープなダークヒーロー物にみたいになってなくて良かったです。
一つ一つエピソードがあるサブクエスト
ゴーストオブツシマについてはメインクエストだけでなくサブクエストも作り込まれてました。
特に面白く感じたのが主要な脇役キャラが関係するサブクエストで、メインクエストでは語られなかったキャラクター達の過去が色々語られ、それと連動するかのように現在の事件へと繋がっていってます。
普通にこのサイドストーリーが面白く、先の展開が気になり本編とは別にまた楽しめました。
他にも主要キャラクターが関わらないその辺りの百姓などのサブクエストはありますがそちらもそちらでちゃんと一つ一つにエピソードが用意されていて、その時代ならではの事件とか怪談話等を絡めた様々なタイプの話が用意してあります。
かなりの量のサブクエストがありましたが、それぞれ手抜きみたいなものも感じられず、意外と飽きずにサブクエストを遊び続けることができました。
このゲームに感じた難点について
ここで個人的に少なく感じたゴーストオブツシマについての難点みたいなものを言ってしまうと、このサブクエストに関してのことになりますがクエスト内容が単調であることでした。
サイドストーリーについては普通に面白くはありましたが、クエストを進めていく上で実際にやることが「敵を倒す」とか「○○の足跡を追え」とか結構ワンパターンで、サブクエストのみを集中してこなしていこうとすると中だるみを感じてしまうことも正直ありました。
ゴーストオブツシマについては戦闘部分がかなり面白かったこともありそこまで気になりはしませんでしたが、あたらめて思い返してみると結構このサブクエストの進め方は単調であったように思えます。
ただこの難点というのはこのゲームに限った話では無くて他のオープンワールドRPGにも言えることで、どうしてもこの部分でゲームに対しての飽きみたいなところが強くなってしまうことが多い気がしてます。
あとこのゲームについてはムービースキップや会話の読み飛ばし等の機能が無いということも気がかりでした。
初見で1週目を遊ぶ分には特に気にならなかったのですが、別のセーブデータでまた2週目を遊ぶときに結構不便に感じそうでした。
とても面白く感じられた剣戟アクションについて
このゲームの一番の売りともいえる剣戟アクションについては多少の難点はありますが、それでもかなり出来が良いと思いました。
ゴーストオブツシマについては□ボタンで弱攻撃、△で強攻撃、○でステップ回避、L1で防御、L2R2ボタンで飛び道具の使用、さらに敵の攻撃にギリギリに合わせてL1を合わせるとパリィが発動しカウンターができるといったような割と癖が無くオーソドックスな操作のアクションゲームです。
また戦闘中に切り替え可能な4つの型というものもあり、それぞれ敵兵科との相性があって相手に合わせて切り替えていくことで優位に立ち回れたりもできます。
ここまで見るとそれほど珍しいものでもなく下手をすればかなり平凡そうに思える戦闘システムなのですが、実際に遊んでみるとかなり出来が良く面白くも感じられました。
レスポンスが良く操作性はとても良好
まずこのゲームについては主人公の仁相手に敵が複数に襲い掛かってくるような集団戦闘が基本になってます。
それでいて敵の攻撃力が高く、2~3発相手によっては1回斬られただけで瀕死の状態まで追い込まれるような、現在話題?のソウルライクなゲームになってます。
ただそこで難しさが売りの死にゲーなのかと言われればそういうわけではなく、受け流しや回避のタイミングは緩めで簡単に発動できて、敵と同じくこっちの攻撃力も高かったりするので、テンポよくサクサク敵を倒していけるようになります。
レスポンスも良く自分の攻撃を防御や回避でキャンセルできたり、後ろから切りかかられても、L1ボタンを押し込んでいれば自動で振り向きガードもしてくれます。
ここで紹介するまでもありませんが、剣戟アクションについてはモーションやSE等がとても作り込まれていて素直にかっこいいと思えるし、敵を切ったバッサリ感もあってなかなかの爽快感があります。
体力の回復方法についてもちょっとユニークで、本作では「気力」というMPゲージのようなものを消費して回復するのですが、発動方法が十字キー下を1回押すだけでモーションも無く瞬時に回復することができます。
一度距離を取って薬を飲むとか、かっこ悪くて余計な動作をすることなく瞬時に回復して戦闘を継続できるので、この仕様についても個人的に気に入ってしまったポイントです。
全体的に操作性がシンプルで動かしやすく反応も良いのでこのあたりについてはとても好感触でした。
ストレス無くキャラクターを自在に動かすことができるというのは長丁場になりがちなオープンワールドゲームではとても大きなことだと思います。
時代劇のように立ち回れるゲーム性?
あとしばらくプレイしていると薄々気が付いてくると思うのですが、このゲームについては集団戦となっても敵が2体以上同時に攻撃してくることが無く、あたかも時代劇のように一人の敵が切りかかってきても残りの敵は待ってくれます。
あと画面外から弓矢などの飛び道具を放ってくる敵もいますが、こちらも攻撃前に掛け声を発したり、周りの敵が頭を下げ始めるなどの予備動作をするので、そういう意味でも相手に関係なく常に一対一の状況になるように出来てます。
アクションゲームで数人の敵と同時に戦うというのは難しく、場合によっては強いストレス要素にもなり兼ねないですが、この敵が待ってくれるという調整はとても上手いなとも思いました。
主人公に向かってくる敵についてもただの単調に攻撃を仕掛けてくるだけでなく、防御や回避、強力なガード不能攻撃などを使ってくるので、ボタン連打で勝てるような単調な戦闘ではなく色々な技や行動を使い分けて対応していかないといけません。
しかしながら一人一人の敵は体力が少なめなせいかそれほど強いようには感じず、、短時間の戦闘ですぐ決着が付き、一度の戦闘に掛かるも時間も短くとてもテンポがいいです。
操作性が良いことも相まって、割と早いうちから複数人の敵を時代劇の主人公のように捌いていけるようになりましたし、自然と敵が一対一なるように動いてくるので違和感などは感じずに戦闘に集中することもできました。
そういった調整の影響なのかどうかはわかりませんが一見単調そうに見える戦闘についても不思議と最後まで飽きずに遊ぶことができました。
武士のスタイルに反する強力で便利な道具類
本作では序盤から多数の敵を相手にしなければならず正面から正々堂々と戦うスタイルでは敵を殲滅していくのが大変で、序盤は良くとも中盤以降は厄介な敵も増えてきてさらに苦しくなっていきます。
その戦闘を楽に進めるために敵の背後から忍び寄って闇討ちしたり、強力な道具類を使って状況を突破したりもすることも可能になっていきます。
またこのゲームについてはしゃがみ移動がなかなか速く、ステルススキルの耳澄まし(周囲が透明化して敵の位置が分かる能力)についても使用に制限が無くとても使い勝手がいいので、厳密行動をとるにしてもかなり軽快に動き回れてしまいます。
そのような要素も含めて、これらの武士に反するような戦法というのはどれもかなり強力で、楽に状況を突破していけるようになり攻略の助けになるのですが、使っていて最初は罪悪感を感じるような風になっているのは他のゲームとは違っていて面白い要素だとも思いました。
おそらくこれらのステルスだとかアイテムなどの要素が非常に強力なものになっているのは意図的で本編の主人公とプレイヤーの心境を同調させようとしているのではないかとも思えてきます。
おそらくほとんどのプレイヤーが最初は武士らしく戦っていても、終盤になる頃には闇討ちやら強力な暗器などに頼りながら戦っていることになると思うのですがどうでしょう。
使うことは自由だし、幅広い戦い方ができるようにもなるので様々なプレイスタイルが扱えることは良いことに思えました。
カメラワークに若干難あり
アクション部分は基本的に出来がとても良くて、動かしていて楽しいゲームではあるのですが、少しここでも難点があって、地形によってはカメラワークが悪くなってしまうことがあることは残念な部分でした。
草や木で視界が塞がってしまったり、近くにいる敵も見えなくなることがたまに起こるので、その部分でちょっとしたストレスを感じることも。
彩り豊かなグラフィック表現
このゲームをトレイラーなどの見てそのゲーム内の美しい風景とか自然の表現が強く印象に残っていたのですが、ゲーム本編でもその印象は変わらずとても色彩豊かなグラフィック表現で日本の美しい対馬が堪能できました。
メインストーリーや戦闘システムだけでなく、鎌倉時代の対馬島という舞台への没入感という面についてもかなり力が入っていることが本編を通してもひしひしと伝わってきます。
とにかくその色彩表現がとても上手で、色だけでなくそこに光源などを含めてたり、さらにそこに風などのエフェクトを織り交ぜていくなど、その表現力の高さに圧倒されてしまいます。
没入感を高めるために工夫された「誘い風」について
またこのゲームについてはオープンワールドゲームでありながら、ミニマップなどが用意されておらずHUDがとても簡素なものになってます。
しかしそれでは、ゲーム中での目的地などの指標が無くかなり不便なものになってしまいます。
そこでこのゴーストオブツシマについてはそのかわりに「誘い風」という風のエフェクトが目標までの道標となります。
これにより、ゲームの操作画面から余計なUIを排除することで、よりゲーム中の美しい景色を堪能しやすく没入感を深めていると感じました。
この「誘い風」については最初は風の吹く方向がやや分かりにくかったりSEがちょっとうるさかったりで戸惑いもしましたが、慣れてくると方向もすぐわかりオプションボタンで全体マップを開く回数も少なくなっていきます。
こうした余計な操作が減ることで、ゲーム中の没入感を高めたりと、結果としてはいい方向に作用しているの要素じゃないかなと個人的に思いました。
フォトモードや噂の黒澤モードについて
ゴーストオブツシマがその美しい風景だとかに力が入っているというのは、ゲーム画面の豊富な画面設定とかあえてゲームの隠し要素ではなく最初から搭載されてある「黒澤モード」からも伝わってきました。
設定から最低限のUIのみを表示させたり、色彩などをより鮮明にする「ドラマチック」機能も用意されてます。
他のゲームでもあり、このゲームでも実装されているフォトモードについては基本的な機能から細かいものまで設定項目が豊富で、「桜の花びら」や「紅葉」というような画面効果を付けたり出来るほか、風の表現の方向や強弱など本当に色々と弄れます。
ムービーシーン以外では十字キー右のワンボタンで即起動できるので、風景画を取ったりするだけでなく、戦闘中の激しい剣戟の様子なんかもスクリーンショットに収めることが出来そう。
また、開発チームが日本の黒澤監督の映画作品に影響を受けそれをリスペクトしゲーム内で再現してみた「黒澤モード」なんてものもあります。
ゲーム画面が白黒になるだけでなく当時のフィルムの汚れや傷もについても上手く再現されてます。
ちなみにこのモード、ゲームの音質も下げてノイズも走りこもったような音にも変化してます。おまけで導入したという割にはこちらの設定についてもかなり作り込まれている気がします。
実際にこのゲームを遊んでいて一時期このモードに変えてもみました。
昔の白黒映画風になり、通常のゲーム画面と比べて雰囲気がかなり異なるように変化するのですが、今作の彩り豊かな風景の魅力が薄れたり、通常のUIが分かり辛くなる悪影響もあるので気分転換にこのモードを変えてみるのがちょうど良さそうでした。
通常のPS4でもローディング時間が短く快適
今回私がこのゲームを遊んだ機種についてはPS4proではなく通常のPS4で、SSDなどを搭載しているわけではありませんが、SSHDに換装していて通常のPS4よりは少々ロード時間が短いという程度です。
それでこのゴーストオブツシマについてはゲーム内で相当な負荷が掛かってそうでその代償にロード時間もかなり長そうな印象がありました。
しかし実際ゲームを動かしてみると想像とはかなり違っていて、ロード時間はオープンワールドゲームにしてはかなり短かったです。
たまに時間が延びたりもしてましたがファストトラベルで10秒前後、死亡時のリトライでは5秒前後で済んでました。
リトライについての時間もそうですが、オープンワールドゲームにおいてこのファストトラベルのロード時間というのは結構なストレス要素になりやすく、仮にゲーム内容が良かったとしてもこの時間の長さが原因でゲームに対する印象が悪くなってしまうというはあると思います。
しかし本作ではこのロード時間が短くてこの部分でストレスになることは全くなく、ゲーム本編にも継続して熱中することもできました。
とても洗練されたオープンワールドゲーム
発売前には面白そうだけども変な癖もありそうなゲームというような先入観がありましたが、実際遊んでみるとその心配は杞憂で、舞台設定とかストーリーについての日本的な描写には全く違和感を感じず正統派オープンワールドアクションRPGとも呼べるような出来栄えでした。
加えて王道的で熱いメインストーリーに操作性がとても良く動かしていて純粋に面白い剣戟アクション、美しい風景を堪能できるグラフィック表現だとかその風景に没入できるように工夫された「誘い風」など、単にゲームとしての面白さだけでなく、ユーザーにストレスを感じさせないように様々な配慮が施されていることも感じられました。
この記事で語っていない部分では、アイテムや素材をワンボタンで即取得できること、移動手段の馬をいつでも呼び出せること、障子の開け閉めがとても高速なこととか他にもありますが、細かい部分で余計なストレスを感じさせない配慮がかなり効いてます。
変な話面白いゲームはあっても長時間遊んでいると様々な粗が目立って結果、ストレスを感じたり、途中飽きが来てゲームに熱中し辛くなったりもするのですが、このゴーストオブツシマについてはそのようなことが一切なく、長丁場のトロフィーコンプリートという作業を経てもストレスをほとんど感じさせずにすんなり達成できてしまいました。
思い返してみてもサブクエスト関係が単調に思えたのですが、それでも飽きずに進めれたのはストーリーや戦闘が面白かったのかストレスフリーなゲーム仕様の影響なのかどうかはよく分かりませんでしたが、そういった実体験からもこのゲームについてはとても洗練されていて優れているのだと思います。
あまりぐだぐだと語ってもしょうがないのでこの辺で締めたいと思いますが、正直に言ってしまえば斬新なゲームとは言えないし、今後強く記憶に残るような印象あるわけでは無かったです。
しかし、とても洗練されていて遊びやすく初見からトロフィーコンプリートまで熱中して遊ぶことが出来たとても面白いゲームであったことは確かで、変な癖も無く意外と万人向けのゲームなんじゃないかとも思ってます。
ただZ18指定で他のゲームにありがちな海外版からの表現規制も無いとのことで、かなりえげつない暴力表現等もあるのでそこは注意かもしれませんし、逆にそういった描写に抵抗が無く武者や侍とかそういったものに興味があるのだったらぜひ手に取って遊んでほしいゲームです、おすすめ!
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