9月16日に発売された「BLACK SHEEP TOWN」の感想を簡単にですが記事にしました。
正確にはゲームでは無くデジタルノベルという形式なので、このブログで扱うのはちょっと違うかなと思いましたが、この作品が個人的にとても面白く良いものだと思えたので突発的にですが記事にしてみようと思いました。
BLACK SHEEP TOWNの概要など
BLACK SHEEP TOWNの概要については以下の通りで配信元であるSteamの紹介文をそのまま転載してます。
『BLACK SHEEP TOWN』は、架空の都市を舞台にしたデジタルノベルです。
・刺激的な舞台
本作の舞台となるのは『Y地区』。
あちこちの国からやってきた移民が暮らす国際色豊かな繁華街で、その独特の雰囲気を楽しむ来訪者達によって活気に満ち溢れているものの、街の裏側はギャングが支配し、警察の力が及ばない危険な地域となっています。
・多種多様なキャラクター
本作には街を支配するギャングのきらびやかな一族や、スラムの片隅で暮らす超能力者、差別されるミュータントのために働く者など、様々な立場と考え方を持つキャラクターが登場します。
ユーザーはそのうち何人かの視点を借りて、物語の世界を体験することになります。
・見たいものから見られるストーリー
本作は次にどのシナリオを読むかを、ユーザーが選択します。
初めのいくつかのシナリオを読み終えると、複数のシナリオが解放され、そのなかから特に興味のあるシナリオを読み進めることが出来ます。
お気に入りのキャラクターや、気になる事件に関連するシナリオを先に読んだり、また後回しにすることも出来ます。
・手助けとなるシステム
本作には用語解説が搭載されています。
本文中の用語をクリックすることによって、ストーリー中のいつでも人名や用語の意味を確認することが出来ます。
コンフィグ画面を開けば、解説のある用語の色を変えるか変えないかの設定変更が可能です。
また、一度読んだシナリオも、シナリオ選択画面から読み直し、気になるエピソードの再確認が出来ます。
これらの機能によって、数多くの人や事件が登場するこの物語も理解しやすくなるでしょう。
システムやUIなどについて
ゲームのシステムや進め方については紹介文にある通りで、各シナリオごとに区切られていて1つのシナリオを読む終えると複数のシナリオが解放されて、その中から自由に選択してさらにシナリオを読み進めていくというような形式になってます。
キャラクターの音声等は無く、完全に文章を読み進める形式のデジタルノベルのようでした。
シナリオは読みたいものを自由に選択していけますが、途中で解放されるシナリオにロックが掛かるようになっており、それらは他のキャラクターのシナリオを読むことでロックが解除されるようになってます。
なので特定のキャラクターだけをかなり先の方まで読み進めたりは出来ず、上手いこと他キャラクターの展開がネタバレしないようになっているので、ここは本当に自由に選択していっても構わないように配慮されてます。
この作品では独自の専門用語などがありますが、TIPSなど機能で確認するなどもできるようにもなってます。
文章のスキップ速度が遅かったり、バックログで前のシナリオまで遡ることが出来ない(シナリオが終了するとそこでログがリセットされてしまう)などのちょっと不便な所があったりしますが最低限の機能は揃っているという感じでした。
このゲームに対するちょっとした感想・短評みたいなもの
まずは一言述べると、大変面白い作品でした。あとこちらの想像以上にボリュームが多くて、定価で2800円のゲームとして販売されていたので、10時間前後で読み終えれるようなものなのかと思いましたが、実際こちらの想像の3倍くらいボリュームがあって実際クリアまで掛かった時間は27時間程度でした。
途中休憩とかで放置していた時間も含めたものなのであまりここは参考にならなそうですが、実質25時間程度は文章を読み続けていたのかと思います。
この手のビジュアルノベルにしてはかなりの大作で、ちゃんと話も完結していて、もちろん粗い部分や個人的にちょっと気に入らないポイントなどもあったりしますが、連休中の一日だけ徹夜してしまうくらいには熱中して最後まで進めてしまうくらいには面白かったです。
シナリオライターである瀬戸口廉也氏の持つ特色がかなり出ていて、そこにギャング同士の闘争だったり超能力バトルみたいなエンタメ要素が上手く融合しているという感じです。
私自身では氏の作品を別名義の小説も含む、全て読んだわけでは無いので断言とかはできませんが、この作家さんの過去作を読んだことがあり、それを面白いと思えた方にはかなりハマる可能性があるんじゃないかと思ってます。
公式サイトやそのミラーサイトで体験版をDLして無料で遊ぶことができるので、その体験版が面白いと思えたらな、たぶんきっとこの作品は最後まで楽しめると思います。
ただ人を選ぶ作品ではあると思うし、年齢制限も一応「IARC汎用レーティング 16歳以上」とのことで、暴力・残虐表現がきつめであり、後元々はR18指定のノベルとして開発されていたらしく性的表現の名残(直接的な描写はあまり無いですが)みたいなものがあったりするので、苦手な人はそこは気に留めておいた方が良いかも。
私個人のちょっとした感想・短評みたいなものを述べていくと、この作品で出てくる多くのキャラクターの思考・価値観・哲学みたいな内面描写をそれぞれしっかり描き分けられていたことが秀逸だと思いました。
他には街や生活の描写だったり、本作独自の設定であるタイプA・タイプBに対する世間や当人たちの価値観や差別意識なども、くどくならない程度に上手くシナリオ全体に分散させて盛り込んでいるという所も良かったポイントなのかなと。
人物の描写とは別として、この物語の世界観などもしっかり丁寧に描かれているので、そこが実は効いていて、登場人物たちの言動が自然と受け入れられる要因になっているとも思いました。
かなりのボリュームがある本作を最後まで熱中して読めたというのは、この拙いブログでは伝えきれない何か凄いものがあったんだなというのが伝われば幸いです。
とにかく、このご時世にこのような重厚でしっかりと大作として完結しているビジュアルノベルが発売されてそれを遊ぶことが出来たことが貴重ではあるし、他に筆力のある作家さん方がどんどん新作を出してくれることを願っているのですが、やっぱり難しいのでしょうね。
ただ本作のライターである瀬戸内氏とBU-KUのスタッフ一同が来年2023年に新たな新作ノベルの製作に関わるということなので、そこについてはまた期待しています。
どうしても気になった点について(ネタバレ注意)
どうしても気になった点が2点ほどあってちょっとそこだけ、記事の最後に残しました。
- サブタイトルでネタバレしてしまうこと
- 特殊タイプBがちょっと便利・都合が良すぎるような気がすること
1つとしては、シナリオ選択の場面で表示されるタイトルにネタバレがあることでした。
タイトル自体が○○の死みたいな、ちょっと直球でネタバレするような感じになっているので、この手のお話ではお約束みたいなところがあるのかもしれませんが、もう少しタイトルを捻って暈してほしかったというのが正直なところです。(分かりやすくネタバレしていることに何か意図があるのかもしれませんが)
2つ目としては、作中出てくる特殊タイプBの設定がちょっと便利・都合が良すぎるんじゃないかと思いました。
目が常時金色になるくらいしかデメリットが無ければ、元々の発作も無くなり能力が向上かつ場合によっては新たにタイプAのサイキック能力も取得できてしまうという、いたり尽くせりですしあとは指先からも復元できて記憶とかも特に影響なく元通り。
完全な不老不死では無いですが、作中で言われていた生死観の前提みたいなことが崩れてしまうので、そこは何とかならなかったのかと思いました。
ただ、この特殊タイプB化が無ければ過去の騒動が発生しないし、あのエンディングの読後感はあれはあれで良かった気がするので、それらの設定が悪いということでは無いのですが。
他に細かいこともありますが些細なことなので、2点ほど気になったこととして最後挙げさせてもらいました。
アップデートによりCG・BGMの鑑賞モード等が追加
12月に入ったアップデートにより、主にCG・BGMの鑑賞モードが追加されました。タイトル画面にエクストラボーナスの項目が追加されています。
CGに関しては、各エピソードごとに分けられていて、読み返したいときに便利になっていると思われます。
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